前回に続いて、竹の話である。
割り箸には木製と竹製の2種類がある。
そのうち木製の割り箸は、回収して紙の原材料としてリサイクルする活動が広がっている。コピー用紙やティッシュペーパーにリサイクルされるのだ。
ところが竹製のほうは、繊維が強くて再利用しづらいといわれている。
その竹製の割り箸を回収し、見事に生まれ変わらせて製品にする企業が登場した。
日本発と、そして、カナダ発。
どちらも使用済み割り箸を「素材」として捉えるという、アップサイクル、創造的再利用といわれる発想である。
外食産業やホテルなどから廃棄される割り箸を回収し、それを板に加工してテーブルや椅子、小物にして販売する。
これまでのリサイクルのように原料に戻して資源として再利用するのではなく、素材としてそのまま生かして、新たな付加価値を付けた製品として再生するのだ。
集めた割り箸を仕分けし、樹脂コーティングして乾燥した後、それを圧縮して丈夫な板に変える。コーティングする樹脂はもちろん環境に優しいものだ。
一度使っただけで捨てられる運命だった竹の割り箸が、回収され、また新たな命を吹き込まれてデビューする。
独特の幾何学模様や縞模様をまとい、表情豊かでオシャレなテーブルや椅子、小物に生まれ変わるのである。
なるほど、これは環境意識を醸成するのにも一役買ってくれそうだ。
環境に優しいから選ぶというよりも、使いやすそう、カッコいい、使ってみたいと思って選んだら実はそれが環境に配慮されたものだった、というほうが案外近道かもしれない。
「とても割り箸から生まれたとは思えない」「そうやって作られたものだったのか」と、手にした後で知る、それでもいいじゃないか。
きっと、もっと深く知りたくなるはずだから。
食べる物も、着るものも、使うものも、我慢して選ぶのでは続かない。
「これ、いいかも!」と、そんな始まり方のほうが人は動かされるのかもしれない。