地震、台風、大雨、林野火災など、思い起こせば昨年も数々の深刻な災害が起こった。
日本だけではない。
世界の出来事に目を向けても、熱波、壊滅的なサイクロン、そして今年に入って大寒波の襲来など、もはや「記録的な」とか「想定外の」というのが耳慣れた言葉のようにさえ思えるような異常さである。
そんな自然に人間は太刀打ちできるわけもない。
それならば、もっと上手に付き合うすべはないものか。
農業の現場は天候に大きく左右される。
今も昔も変わらない。
例えば、種をまく時期はその後の成長や収穫を大きく左右する。
暑い寒いは年によって違うので、暦どおりにやってもうまくはいかない。
昔の人は桜の開花時期を物差しにした。
この桜が開花したら「その時」がきた印だとして、畑や苗代に種をまいた。
人々はそれを「種まき桜」と呼び、山の神の依り代と信じてきたのである。
そして現代。
種まきの時期もさることながら、年々暑さを増す夏の農作物へのダメージも甚大だ。
生産者にしてみれば死活問題だが、個人ではなんとも解決しがたい。
そんな中、山形県鶴岡市内の田んぼを舞台に、人工衛星から測定したデータを農業に活用することで気候変動に対応しようという挑戦が始まっている。
そうして生まれたのが、宇宙ビッグデータ米「宇宙と美水(そらとみず)」だ。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)から出資を受けた宇宙ベンチャー企業「天地人」、農業ITベンチャー ㈱笑農和(えのわ)、米卸国内大手の㈱神明の3社の協業によるものである。
気象や農地の栄養状態や作物の生育状況、耕作放棄地などといった防大な情報を集約して分析し、「気候変動に対応したブランド米をつくる」ことを目指す中で、農業が抱える課題解決への数々のノウハウも生まれてきたという。
新しい視点による新しい米づくりの実現に未来型農業の可能性を感じ、明るい気持ちになる。
それにしても、宇宙からの助けを借りる時代になるとは、「種まき桜」に頼っていた頃に誰が想像しただろうか。
いつの時代も未来を拓く種はこうしてまかれてきたのだ。
